『エネルギー環境革新と第3次産業革命』2003年10月25日

今なお、日本のエネルギーは石油に依存している。
電力部門こそ石油火力の依存は小さくなったが、運輸部門や産業部門ではまだまだ石油(並びに石油精製品であるガソリン・軽油・灯油)に依存している。
 日本で使うエネルギーの50%超は石油。そして石油の80%以上を中東地域に頼っている。今後、中国やインドやアジア諸国が経済成長し、一人当たりのエネルギー消費量が急増するのは目にみえている。一方で、アメリカ(=メキシコ湾)、イギリス(=北海)など中東以外の産油国の生産量は、減少してゆく可能性が高い。埋蔵量の枯渇も心配される。
そうなると、中東の石油を、アメリカも、ヨーロッパも、アジア諸国もみな買い付けにゆく。将来、本当に日本は調達できるのか。残念ながら、米国によるイラク戦争にいち早く賛成した日本に対し、貴重な油の一滴を売ってくれるとは限らない。武器の販売もできない。中東の警察である米国が、自国の調達もままならない時、果たして日本のためになるのか、その保証は全くない。極東の安全確保と、中東の石油の確保のために、アメリカのポチになっているとしたら、「悲劇のポチ」である。オウム事件や阪神大震災であれだけ言われた「危機管理」は一体どこに言ったのか。
残念ながら、国会でエネルギーセキュリティが本格的に議論されたということを耳にしたことはない。自民党と経済産業省は、「国益」を踏まえたエネルギー議論をするつもりも能力もないとしか言いようがない。あるのは、エネルギー各業界の利害調整のみ。議論されるのは、いつもオブラートに包んだ「利権の話」である。
 小生は、一次エネルギーとしては、石油や石炭に比べ環境にやさしい「天然ガス」を機軸としたエネルギー体系を構築する必要があると考えている。天然ガスは、石油ほど中東に偏在しているわけではない。寧ろ、ロシアなど東アジア一帯に多く埋蔵されている。日本の近海(南海トラフ)にも、メタンハイドレードという形で相当量の埋蔵量がある。
 天然ガスは環境にやさしいだけではない。埋蔵量(=資源量)、燃料電池などへの利用など利用範囲から考えれば、今のところ石油に代わる唯一の代替資源である。よく風力などの話が出るが、資源量が絶対的に不足しているばかりではなく、電力消費量がピークになる夏のピーカンなど、必要なときに役立たない。また、次世代エネルギーの主役と目される水素エネルギーへのインフラ転用が可能である。しかしながら、日本は天然ガスのインフラ整備ができていない。幹線パイプライン網が構築されている米国や欧州はもちろん、韓国にも遠く及ばない。利権本位の政治が、無資源国でありながら、この立ち遅れの原因である。
 上記の理由から、次代の一次エネルギー(資源)の主役は天然ガスである可能性が高い。天然ガスを導入するためのインフラ整備が急がれる。利権の温存のためだけで事業時点のみの経済効果しか期待できない土木型公共事業をやるくらいなら、次世代に役立つ天然ガスインフラを整備したほうがメリットがある。プロジェクトファイナンスを応用するなど一部に金融を活用すれば、投下資金は少なくできる。
 そして、何よりも「夢」と「希望」がある。第3次産業革命である。ご存知のとおり、19世紀、英国は石炭の活用を第1次産業革命(蒸気機関)につなげ世界のリーダーになり、20世紀、米国は石油の軍事利用から産業転用に成功し世界のリーダーになった。エネルギーの主役の開発と利用に成功した国が世界のリーダーになる。次は日本である。水素エネルギーと燃料電池、そして太陽エネルギーの活用で、日本は世界のリーダーを目指すべきである。そのために、今、過渡的かもしれないが、「天然ガス」である。
脱「石油」により脱「中東」を図り、脱「米国追随外交」を図る。そして、新エネルギー関連の莫大な需要。エネルギー関連産業だけではなく、一般製造業の燃料転換需要、さらに世界に先駆けることからくる莫大な輸出需要。
700兆円以上の借金を抱える日本。毎年30兆円以上の借金を増やしている。そして、総人口の減少と少子高齢化。日本に必要なのは「改革」ではない。「変革」である。日本の再生には、ある程度の食料とエネルギーの自給体制の構築により、国家としての「自信」をもつことと、次世代エネルギーの推進を環境外交につなげてゆくことで、世界の「信頼」を勝ち取ることが必要がある。国連に20%以上もの資金を拠出しながら、世界に相手にされない「ジャパンパッシング」から脱却しなければならない。
日本は、次世代エネルギーの開発と利用に総力を挙げ取り組まなければならない。今ならまだ間に合う。しかし、邪魔をする「利権」をぶっこわさなければ進まないことは言うまでもない。

 
 
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