|
大儀なき「独りよがり」解散
参議院で郵政民営化法案が大差で否決されました。賛成108票対反対125票。自民党からは、22人の反対と8人の欠席・棄権の計30人の造反がありました。
郵政民営化への国民の期待は必ずしも大きいものではありません。各種マスコミアンケートでも、年金改革や税制改革やアジア外交の改善などと比べればはるかに国民の期待は少ないのです。もっと大事なことがあるのです。政府が、この4月以降、郵政民営化法案に拘泥し、他の山積する内外の課題を放置してまで拘る理由がわかりません。
また、「参議院」で否決されたからといって、既に可決している「衆議院」を解散する愚挙をみると、もはや拘りを越えた執念に近いものがあります。小泉総理と自民党執行部は、郵政民営化を選挙の争点にしようとしていますが、これにはたいへん無理があります。といいますのも、仮に衆議院選挙で自民党が勝って郵政民営化法案を再提出したとしても、選挙がなく否決時と同じメンバーの参議院では否決されてしまうからです。これでは、自民党候補者への投票が郵政民営化に賛成の意思表示にはならなくなってしまいます。今回の衆議院選挙の争点にはならないのです。そもそも国政の行方を決める衆議院選挙で、単一のテーマを争点にしてはならないのです。
郵政民営化に反対した造反議員に対して衆議院選挙で非公認という処分を下しましたが、あまりにも強権的で他党のことながら同情してしまいます。他の多くの政策は一切関係なく、たった一つの政策だけで、しかも優先順位の高いとはいえない政策だけで、党の公認を外すというのはどうかと思います。小泉総理のあまりにも「独りよがり」な態度にはあきれてしまいます。それを止められない自民党も機能不全に陥ってしまったのでしょうか。造反参議院議員は、同僚の衆議院議員が非公認になったのですから、離党して抗議するべきではないでしょうか。もしかしたら、解散を回避できたかもしれません。
衆議院選挙の争点は「政権選択」
郵政民営化が争点にならないことは上記のとおりです。では争点は何にすべきか。当然、優先順位の高い重要政策が争点ということになります。とりわけ、給与所得控除を縮小することを柱としたサラリーマン増税と年金改革は重要です。歳出の改革や天下りの特権排除をすることなしに、安易にサラリーマン増税をするということに納得のゆかない有権者は多いはずです。また年金についても、議員年金などの特権は維持したまま、一般の負担増を強いられている状況が問題です。
こうした改革をするためには、頑強な特権や利権を排除し「この国のかたち」そのものを改革することが必要です。利権としがらみでがんじがらめの自民党には大きな改革は不可能なのです。郵政民営化法案でのゴタゴタはその典型例ですし、郵貯・簡保からの資金流入が特殊法人の無駄遣いと天下りの温床になっていると言いながら、問題点である無駄遣いと天下りの廃止を直接制御できないのです。本来なら、直接的な形で、特殊法人を廃止、縮小し、天下りを禁止すればよいのですが、利権としがらみのためできないので、間接的な形で郵政民営化などという乱暴な政策が出てきてしまうのです。
政権交代なくして改革なし
小泉首相は以前、「改革なくして成長なし」と言いました。しかし、先述しましたように自民党が政権党である限り、過去の利権としがらみから抜け出すことは容易ではないのです。壊しやすい利権から順々に一つづつ手をつけるしかないので、全体改革などできるはずがないですし、時間もかかってしまいます。1000兆円の借金を既に抱え、人口減少社会を急速な少子高齢化のなかで迎える日本には、そんな余裕はありません。今日本に必要な改革を短期で行うには、政権交代が必要になりますし、政権交代がなければ実効性のある改革は進みません。このことは歴史をみても明らかです。明治維新にしても、終戦後にしても、大きな改革は、すべて政権交代を伴っているのです。「政権交代なくして改革なし」です。その上ではじめて、小泉首相も言う「改革なくして成長なし」が来るのです。
|