『いま、格差社会の根元「天下り談合」を打破するとき』2006年4月17日

4月3日の読売新聞に掲載された

「天下り先へ、国費支払い6兆円超!」

という記事には、驚きを通りこして呆れた方も多かったのではないだろうか。

調査結果をもう少し詳しく記述すると、
○中央省庁などの幹部OBを天下りとして受け入れ、
かつ
2004年度に1000万円以上の受注か補助金の支払いを受けた
延べ1078法人が調査対象であり、その支払総額は6.2兆円である。
○支払い件数5万2千件のうち、
 95%の約4万9千件が「随意契約」であった。
○これら法人の天下り受入れ数は3441人である。
○天下りOB数が多い法人ほど支払額も増える傾向があった。

6.2兆円というのは、飽くまで2004年度だけの数値であり、
受注額1000万円以上の法人のみを対象としたものであり、
中央省庁の幹部OBの天下り受入れ企業に限定されたものである。

受注額999万円以下は入らないし、
ノンキャリア役人や県庁・市役所の幹部職員のみの天下り先企業は入っていない。
そのかなり限定された数値であるにもかかわらず、
国債の利払い費などを除く国家予算の1割以上、
国家税収の12%以上の規模に達するのである。

たとえば、ほとんどが受注額1000万円に達しないと思われる天下り先として、
多くの社団法人、財団法人、公益法人がある。
全国市民オンブズマンが昨年発表した数字では、
ノンキャリア、地方公務員を含む公務員出身理事を天下りとして受け入れている
社団法人、財団法人は7271法人(天下り数18,443人)もある。

また、総務省は、国並びに地方所管の公益法人に対する
平成15年度の支払い総額を発表したが、
8,467の公益法人に、補助金・委託金などの支払い総額は
1.3兆円に上るとしている。
(平成17年度「公益法人に関する年次報告」)

そして、これら社団法人、財団法人、公益法人は、多くの場合、
受注した業務を、息のかかった民間業者に「丸投げ」し、
自分たちの取り分=所得の原資として、高額なピンハネをするわけである。

こうしてみると、限定しない全国レベル本当の数字はいくらになるのか、
天下りによる談合や丸投げによって、
わたしたちの税金がいくら無駄に使われているのか
皆目わからないのである。

少なく見積もっても毎年10兆円は下らない金額が
公務員OBの雇用維持のため、
言い換えれば、
勤務実態とかけ離れた給料と退職金の原資を提供するため、
私たちは税負担や保険料負担をさせられている、
単年度ではなく、累計では、
数百兆円が「天下り維持」のために支出されている
と言っても過言ではないだろう。

最近、日本は格差社会になったと言われるが、
努力や能力により生じる格差なら、しっかりしたセーフネットを前提に、
ある程度は許容されるべきであろう。

右肩上がりの高度成長が終焉し、人口が減少高齢化し、
いろいろな意味でアジアの追い上げも激しくなったいま、
努力や能力が最大限評価されるシステムにしなければ、
個人のインセンティブもないし、国も成長しないだろうからである。

しかし、問題なのは、
努力も能力もないのに成功できる人たちが、
政治の仕組みとして、つまり利権として
存在してしまうことである。

経済の仕組みの中でなら、
能力ある官僚・公務員が
個人の力で、単なる再就職をしたということであり
問題にはならないはずである。

しかし、公務員の天下りシステムは、
政治の仕組み=利権で、
実際の能力や勤務実態にかかわらず、
「公務」で得た情報と人脈を利用して、
その情報と人脈を必要とする関係団体に再就職し
高額の報酬とともに権限や地位を得、
成功することができてしまうものである。

一方で、こうした利権ホルダーを養うために、
多くの努力や成果が報われない存在がある。

「天下りを受入れない企業」には、
いくら努力しても、
随意契約のサークルに入れず、
入札の場合には、
有用な情報(談合情報)が入ってこず、
結果として
公共的な仕事はなかなか回ってこない、
という仕組みが存在する。

そのため、
いくつかの業界では多くの企業が
自社の利益のため、天下りを受け入れざるを得なくなっている。

また、中小企業経営者や商店主のなかには、
「仕事を発注しないとの脅し」や「村八分的ないじめ」を受けて、
利権システムを維持する政党や候補者を応援させられたり、
もしくは自分自身が信じる政治参加の権利まで奪われている人もいる。

さらには、「利権のない一般市民」は、
天下りのピンハネ分を税や保険料として負担させられている。

こうして天下り談合問題は、もう20年も前から指摘されながら、
一向に改善されない「頑強な仕組み」となっている。

しがらみやパフォーマンスを利用した巧妙な仕掛けによって
「改善しない政府」を、
私たちはほぼ一貫して選ばされてしまっているのである。

利権のない私たちの多くは、知らず知らずのうちに、
少しだけ利権の恩恵がある人とのしがらみを通じて、
天下り官僚の利権維持のために、
女王蜂のために行動する働き蜂のごとく、
行動させられているわけである。

昨年の総選挙では、
ニートやフリーターなどの負け組と言われる多くの若い人たちが、
格差を拡大させ、天下り利権を維持する「政府」を選んだことは、
皮肉なことである。

では一体なぜ、
政府自民党は天下りを禁止できないのか。
小泉改革をもってしても、
天下り禁止はおろか、むしろ増えてしまった。

長年にわたる、
官庁の出先機関、族議員、地方議員と支援団体との
右肩上がりを前提とした特殊な利害関係が、
地方のすみずみにまでくもの巣のように張り巡らされ、
それが複雑な「しがらみ」関係となって、
自民党自体が身動きがとれなくなってしまったのであろう。
ちょうど自分の張った糸にからまるクモのように。

自民党では改革できない官僚支配と天下り談合。

しかし、最大の利権を維持したままでの
格差拡大に、利権のない納税者である私たちは
どうやってNOを突きつけることができるか。

それは、自民党が官僚利権に踏み込めないいま、
選挙で民主党を選んでもらうしかない。

民主党は小沢新代表のもと、
選んでもらえる政党に自己改革するしかない。
有権者の選択肢をなくさないためにも。