『「政治とカネ」の最終決着を!』 2007年2月21日

民主党の小沢代表が事務所費の内訳を公表した。
これが政府閣僚の事務所費問題に飛び火し大激論になればよいが、
果たしてそうなるだろうか。

この「政治とカネ」の問題は与野党の多くの議員が
少なからぬスネに傷ある問題である。
できれば騒ぎが収まるのを待ちたい、あまり大問題にしてトバッチリを受けたくない、
と考える議員が多いのではないだろうか。

そうなると、適当に委員会で質疑して、
小手先で形式的な改革案を出して終わりにする可能性が非常に高い。
そして、またこの「政治とカネ」の妖怪は出現を繰り返すことになる。

繰り返す「政治とカネ」の背景
ところで、「政治とカネ」の問題は、
過去何度も「政治改革」と称する改革が行われてきたが、
それでも一向になくならない構造的問題である。

どこに構造的なものがあるのか。
その背景には、
「政治連動で不当にもうけたい一握りの企業」
「一握りの個人有権者のたかり体質」
がある。

簡単にいうと、
当選後の利権にありつきたい「一握りの企業」が裏金(領収書なし)を出し、
「一握りの個人有権者」に飲み食いをさせ、
渡し切り費と言う票の取りまとめ代金(買収資金)を渡し、弁当を出す。
なかには、議員や事務所スタッフで山分けしているケースもあるかもしれない。

先日、ある地方議員の方が、
「炊き出しをやめて、規定のとおり運動員分のみの弁当しか出さず、
運動員登録以外の人への1日数千円の日当をやめたら、
事務所にぜんぜん人が来なくなった」とあきれ顔で言っていたのを思い出す。

このメカニズムがある限り、いかに小手先の改革をしても無駄であろう。
繰り返すのみである。

「政治とカネ」メカニズムと利権政治
政治とカネの問題は複雑である。

しかし、先述したように問題の本質は、
政治家がカネを欲しがるのは、(子分にカネを配る大物議員は別)
一握りの選挙活動をする人のための経費(日当・飲み食い・弁当)に充てる収入が
ほしいというものだ。
そして一握りの企業は、その政治家のニーズに答え裏金を提供することで、
当選後の利権を確保するわけである。

談合や贈収賄はもちろん、利権の構造は、
この「政治とカネ」のメカニズムを壊さないかぎり無理ということになる。

このメカニズムは、
政治家の世襲によって、
または選挙好きの一握りの「有力」有権者や利権企業によって、
支援する政治家の交代にもかかわらず、巧妙化しつつ継承されてゆくのである。

「選挙ビジネス」のすぐれたスタッフの発言力
政治家はもちろん、「一握りの有権者」や「一握りの企業」は
選挙において経験・知識が豊富で、頼ってしまう政治家は多い。
誰でも理解しがたい複雑な選挙制度のなかで、
こうした「一握り」の知識ある有力者の、
「勝つためには、仕方ないんだ」
「こうやれば大丈夫だ」
「皆やってるんだから、法律どおりにやってたら負けるんだよ」
などという言葉は絶大な発言力をもつことになる。

そこに、悪いこと、不正なことをやっているという感覚はない。
選挙で利益ある関係者皆がそう思うようになると、不正は腐敗になる。

腐敗が繰り返されれば、選挙で利益を手にすることのない、
多くの有権者は政治不信に陥ることになる。

不正献金(裏金)と架空経費(事務所費)
しかし、このメカニズムを実行する政治家事務所サイドの手続きには2種類ある。
・収入をごまかす不正献金(裏金)と、
・支出を捏造する架空経費(事務所費など)
である。両方を使い分ける悪徳な政治かももちろんいる。

収入をごまかすのは、いただいた献金をいただいてないことにするものだ。
献金の収支報告書不記載がこれだ。
発覚しても大概は「記載漏れ」ということで修正して済ましてしまうが、
要は裏金捻出である。
献金した側が黙っていれば発覚しづらい。

このうち献金者側と通謀・共謀する日歯連みたいなものはヤミ献金であり
金額が大きいのが特徴で、
一方、政治家サイドが勝手に裏金化するために小口献金を報告しない不正献金は
金額は小さい。
金額が小さいことで発覚しづらい面があるが、
通謀・共謀していないので献金した側の報告書などで発覚するケースもある。

架空経費は、本当は使っていない経費を使ったとするものだ。
今話題の使ってもいない事務所費を収支報告書に記載し裏金を捻出するやり方だ。
なぜ事務所費かというと、事務所費は領収書の添付が必要ないからだ。

このほかにも、役所などでよくある架空旅費(カラ出張)、
業者と通謀しての架空領収書、
領収書の添付不要の小口の文具代などの経費を積み重ねて捻出するなど
のやり方がある。

いやはや、デタラメ国家である。

選挙制度見直しとセットで議論を
こうしたメカニズムを変えるには、
選挙制度の見直しとセットで行う必要があるということは、
本稿をここまで読み進めていただいた方には理解いただけるだろう。

複雑さと人手と集票が必要な選挙からの脱却が何よりも大切である。
これで、政治家サイドのカネのニーズは大いに減少するはずだ。

カネやスタッフを出すことで政治に影響力を保持していた勢力も、
政治から切り離されることになり、利権政治もなくなる。
利権政治がなくなれば、談合や無駄な公共事業が減り、
全国トータルで数兆円、おそらく10兆円以上の資金が節約できることになる。

うるさい街宣カーをなくし、選挙ハガキを廃止し、立候補者冊子を投票用紙とともに配布し、選管主催の立会演説会を実施し、ポスターは行政が貼る、
例えば、こうすれば(こうでなくともよいが)、確実にカネのかかる選挙ではなくなる。

あいさつまわりなど選挙のことばかりで政策を勉強する時間がなかった政治家
の質の向上にもつながる。選挙屋政治家の排除にもつながる。
利権継承メカニズムがなくなれば無能な世襲議員も減少する。

政治家に本来の政治をさせることができれば、
官僚主導の政治にも道が開かれることになる。